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本当の自分と一致させる

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Mさんは、家族や年長者や職場の上司ならまだしも(といっても、やっと我慢できる程度だそう)、職場の後輩や年下の友人にまで軽く扱われることに強い不満をもっていました。
何度か訴えてみたのに一向に状況はかわらず、とうとうストレスで体調を悪くするまでになりました。
そんなときに私のところにお見えになったのですが、お会いしてとても印象的だったのが、彼女の、過剰ともとれる腰の低さでした。

ずっと背中を丸めた姿勢で目線は下を向いています。とても小さな聞き取りにくい声でとぎれとぎれにお話しされ、ことあるごとに、自分がいかに無能であるかとか、いつも失敗してばかりだとか、なにもできないつまらない人間だ、などとおっしゃいます。

よくよくお話を伺ってみますと、幼い頃から親御さんに、女は可愛いげがなかったらいけないとか、賢くなくていいとか、年長者には可愛がってもらわないといけないなどと言われてきたのだとか。

そこでその教えを彼女なりに解釈して実行したことが、本当はそうではないことに気づきながら自分を無能だと外部に向けて発信することと、ひとさまをおおげさに持ち上げることだったようです。

でもそれは、目論み通りにいかなかった・・・ひとさまに可愛がってもらうどころか軽んじられ、自尊心にも多大な傷を負う結果になったことにやっと気がついたMさんは、きっぱりとこれらを改める決意をされました。

もうひとつ。
お酒の席でたまたま演じたドジっこキャラがウケたGさんは、ひとさまを笑わせたり喜ばせることがとても嬉しかったのか、ことあるごとに人前で自分がいかにうっかりものかを演じはじめました。
でも、本来の彼女はとても有能で優秀なひと。仕事上でもミスはほぼすることはありません。ところがあまりにも何度もうっかりキャラを演じ続けた結果、大きなお仕事や重要な面談など、今まで担当してきたお仕事の大部分を別の同僚や後輩に回され、Gさんのところには来なくなったのでした。

多くの人は、肉体は成人してもココロのどこかに幼少期に学んだこと・・・それが真実かどうかは別として、そのときに「そうなんだな」と思い込んだもの、強く刷り込まれたこと、記憶したこと、を大切に持っています。
そしてこのこと・・・立派に成人していろいろとわきまえているはずの自分が、実は未だ5歳児の自分に支配されていることを知らない、わからないままです。

それらは、だいたいはその時生きていくために必要だと「(その時に)思った」ことで、それを実行している限り、必ず保護者(必ずしも親、血縁者とは限らない)から注目されるため、生き延びる可能性が高くなる「と思っている」ものです。これには、叱られてショックだったことはもちろん、ほめられたことも利用されます。

興味深いのは、叱られたことも「愛情の一部」として記憶されることがあるという点で、なぜなら、叱られている間は、少なくとも保護者の注意は引いているからです。幼い子供にとって、その存在を無視されることほど恐ろしいことはありません。己の存在を無視されるということは、衣食住の補償が無くなる・・・直ちに命を落とすことに他なりませんから。

実は、異性同性関係なく、好意を持った人とある程度仲良くなった段階でいつも喧嘩別れしてしまうというひとは、このあたりの自分探索が必要になります。

閑話休題

さて、うまい例えが見つからないのですが、真意が見える人、わかっている人は、お笑い芸をお仕事をしているひとを決して嗤うことはしません。
それを意図して悲しみや苦しみを忘れさせるような、一瞬でも楽しさを味わえるような愉快な芸をする、続けるには、いま大衆が何を欲しているか、自分に何ができるかを冷静に客観的に評価できる観点と実行力が必要で、愚かであっては絶対できないことだとわかっているからです。

でも、それがわからない人たちは、お笑い芸をするひとたちを、ただの変な、おかしな人だと、自分より下位の生き物だと勘違いして、からかったり馬鹿にしたりします。

また、お笑い芸をしている人であっても、自分がなぜそうしているかその理由を忘れてしまったり見失ってしまうと、笑われることが耐えられなくなったり、傲慢になってしまうこともあるでしょう。

明確な意図があってのことであればいいのですが、上記のMさんやGさんのように、無意識に本当の自分とは別の人格を演じること、同化してしまうことは、周囲の共感を呼ぶどころか物笑いの種になったり、信頼を失ったり、自尊心をひどく傷つけることになります。

いつでも、どこでも、誰といても、自分自身でいることを選択する勇気を持ちたいなあと思うのです。
誰と別れられても自分自身とは決して別れられないし、誰を騙せても絶対に自分を騙すことはできないのですから。

誰よりも一番に、第一に、自分に誠実でありたい(≠他者に迷惑をかけること)なあと思います。
もし、そうすることでご縁が切れる人間関係であれば、今のままでもおそらく長続きはしないでしょう。
それに、自分自身でいること、誠実であることをを選択すると、同じように、自分自身に誠実なひとたちとの新たな人間関係ができていくんじゃないかなあと思うのです。

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